日曜日、日帰りで権現岳に行ってきました。
結果は、敗退。三ッ頭までは行ったのですが、
暴風に負けて戻ってきてしまいました。
天女山のPから登って行って、前三ッ頭、三ッ頭、権現岳、とピストン。
天気がよければ富士山がいつも見えるルートです。
冬場は天女山のPまで車が入れないので、
手前の「天女山」という交差点のゲートにクルマを停めて
30分余分に登っていく形となります。
ゲートには合計6台ぐらい停まってました。
2組見送り、最終スタートで出発しました。
天女山のPを超えて、天の河原へ。

続いて苦手なダラダラ樹林帯歩きが続きます。
このルートの難点はやたらと尾根道が長いことかなぁ。
面倒くさいです。一気に標高が上がる急傾斜がほしいです。(爆)
途中で、先ほどの7人組のパーティを抜きました。
降りてくる人が何人かいました。
そのうちの一組と話をしたところ、「前ミツ止まりが正解」だそうで、
上はかなり吹いてて視界ゼロなんだそうな。
そして、前ミツの直下で先ほどゲートで言葉を交わした神戸の夫妻に会いました。
彼らも前ミツで撤退だそうで。
「前ミツから三ッ頭をみたら、心がポッキリ折れました」とのこと。
そして前ミツ。

確かに風は強いものの、三ッ頭は見えてるし、

じゃあ三ッ頭までは行こうと決めてそのまま進みます。
樹林帯の中はにわかに雪が深くなり、先行トレースはあるものの、
太ももまで埋まるようなフカフカの雪に歓声をあげながら進みました。

すると、静かに音もなく、カモシカが、、、
いや、カモシカのような風情のオジサンが現れました。
お話をしてみると、
「僕はカモシカに会いに来てるんだよね〜。
今日はカモシカ居ないし、視界が悪いから三ッ頭まで行かずに降りるけど、
この先トレースなくなるから気をつけてね。稜線は風が強いよ。」
とのことでした。
とっても優しそうな穏やかそうな、学者さんみたいな風情の方で、
人間って好きなものに似るのかなぁなどと思った瞬間でした。(笑)
というわけで、カモシカおじさんがつけてくれたトレースは消えたものの、
今朝か昨日かのラッセル痕が残ってるので、それを頼りに進みます。
森の中は本当に天国みたいで、何か不思議な生き物がいるような
そんな錯覚さえ覚えてしまう、無風無音のすてきな世界でした。

稜線直下の、風を避けられるよい場所にソロテントを張った跡がありました。
今朝降りてきた人かなあ、と思いつつ、稜線へ。
前三ッ頭分岐です。

ここからCT15分で三ッ頭へ、ということなのでさらに前進。
風は強いものの、びびるほどではありません。
風で雪が吹き飛んでるので、ラッセルの必要もなく、
簡単に三ッ頭へ。

しかし、そろそろ凶悪な感じの雲と風の按配になってきたので、
急いで写真を撮って即撤退です。

権現岳。

CTで60分だけど今日は倍かかるでしょう。
行って帰ってきたら、ビバークになっちゃう。(汗)
又今度晴れた時にでも。
権現の先にうっすらと赤岳が見えます。
そして、撤退。
分岐に戻り、樹林に入り、そこから前三ッ頭まですぐ。
のはずが、樹林が切れて前三ッ頭の樹林までの稜線で、
凶暴な風につかまってしまいました。
バンッ!と爆風みたいな音のする暴風が吹いてきて、
あっという間に飛ばされます。
稜線が広いので滑落ってことはなかったですが、
まっすぐ歩けないどころか、何度も耐風姿勢を余儀なくされます。
が、とにかく寒い!風でいちいち止まってたら絶対やばい!
やばいやばいやばいやばい、、、、
さむいさむいさむいさむいさむい
やばいやばいやばいやばい
はやくはやくはやくはやく。。。。。
たった数百mの歩きの間、
私の頭の中はその3つの言葉で占められていました。
気づくと風が吹いてくる右側の頬の感覚がまったくなくなってます。
頬も口も鼻もまったく動きません。
鼻水がたれっぱなしで(汚くてすいません)凍りついたらしい。
それが唇に垂れたまま、それも凍ってたらしい。
触るとパリンと剥がれて空中に飛んでいきました。
バンッ!再び爆風の音がして、ふわーっとカラダが浮き、
また雪庇のほうへよろけます。
やばいやばいやばい。やばいってば。
はやく!はやくはやく!
と、まあそのような感じで、よろけながら前進していき、
最後のバンッ!!!で、浮いた体ごと、
樹林帯の雪庇の下の道に、文字通り転がり込みました。
そのままだいぶ下のほうまで転がったけど。(汗)
うわぁぁびっくりしたぁ。。。。。
怖い怖い。逃げよう。
と、しばらくは放心状態のままどんどん走るようにして降りました。
だいぶ降りてきて、ひと心地ついたところで、
猛烈に空腹なことに気づき、樹林の中の暖かくて風のない
日差しがあたるようなところで大休止をとることに。
冬場の友の山専ボトル(高いだけあって保温力は期待を裏切らない)と、
お気に入りのセブンイレブンのポタージュスープです。

これは増粘多糖類とか余分なものが入ってないので、
さらっとしてて飲みやすく、味もよい!
暖かい飲み物は生き返りますねえ。(^▽^)V
そしてそこからはまったりゆっくりと下山し、
温泉に直行したのでした。
帰ってきてからあの風はどれぐらいだったのかと気になり、
調べてみたところ、どうやら風速20−25mの暴風だったらしい。
気温はマイナス10度程度で、気温自体は決して低くはなかったので、
この冷えはやはり風のせいなのだなと、やはり風は怖いということに、
今回はほんとうに心底思い知った次第です。
気象庁より↓
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kazehyo.html
(平均風速) (予報用語) (時速) (人への影響)
10m以上15m未満・・・やや強い風・・・〜50km・・・・風に向かって歩きにくくなる
15m以上20m未満・・・強い風・・・・・・・〜70km・・・・風に向って歩けない。転倒する人もでる。
20m以上25m未満・・・暴風・・・・・・・・・〜90km・・・・しっかりと身体を確保しないと転倒する。
25m以上30m未満・・・暴風・・・・・・・・・〜110km・・・立っていられない。屋外での行動は危険。
30m以上・・・・・・・・・・猛烈な風・・・・・110km〜・・・・立っていられない。屋外での行動は危険
昨年、師匠であるS氏に、赤岳の稜線に出る前に
1枚着て、ゴーグルと目出帽を装着するように言われたのですが、
その時は気温が高かったので、かえって暑かったぐらいでした。
が、その時に「稜線に出て吹かれてからではそんなものを装着する余裕など一切ない」
ということを言われたのは記憶しています。
その後何度か冬山に行ったものの、天気がよく、風がなかったせいで、
それらのものは「いつでも装着できるようにはしてある」ものの、
吹雪に吹かれた阿弥陀北稜時を除いては、
装着済みの状態で歩いてるわけではありませんでした。
今回のこの経験は、師匠の言葉をそのまま再現したことになります。
痛い薬、よい経験となりました。
以降、冬場の稜線は必ずこのことを守ろうと思います。